アジア研究学会パネル発表の報告

 2009年3月26-27日の両日、シカゴ の街中シェラトンホテルでのアジア研究学会(Association for Asian Studies)2009年年次大会に参加して思ったことを少し報告する。なお、わたしたちの発表プログラムはここにあります。概要は、本サイト個人サイトでも紹介しています。

 この期間、日本では桜の開花が言われている時期であるが、現地は寒く、帰路は雪に見舞われフライトも雪を解かす作業で大幅に遅れる始末であった。

 わずか2日半のシカゴ滞在であったが、パネル発表における討論者との発表内容についての議論およびその会場に来られていた方からのコメントやその後の参加者との会話を通じて、これまで考えてきたことを確認したり新たに発展させることができたのは最大の成果であった。われわれの旅費を出していただいたサントリー文化財団に感謝したい。

  まず、パネリストである山口智美、ローレン・コーカー、荻上チキ、小山エミさんの発表とのつながりから考えること、および討論者の山口一男さん(シカゴ大学社会学)からのコメントを通じて考えたことは多かった。特に山口一男さんは国の男女共同参画政策にも関わりをもっておられるので、わたしが富山における男女共同参画政策の現状を話したことに関心をもってくださったようだでそのコメントから得ることは多かった。

 例えば、わたし(斉藤)の報告では、富山ではワークライフバランス政策が子ども向けカルタなどの意識啓発の対象となっていることや男女共同参画推進制度が寸劇をやることや男の料理教室を開催するなど、「男女ともに協力する」ということに傾斜している実情を話した。

 そうしたことについて、討論者の山口一男さんは、地方では男女共同参画の法律が施行されていても、実質的には骨の髄まで抜かれている(”taking-out-the-teeth”)現状(Honenuki)と評された。

 会場からも質問が出て女性運動が取り込まれたり弱体化しているのではないか、他にもっと有効な運動はないのかと懸念するコメントもいただいた。自分の書物で引用したいが書いたものはないかという質問も受けた。このような反響があったのはおそらく、般に出回っている日本の男女共同参画制度の評価と私が紹介した内容がかなり相反するものであったこともあるだろう。

 というのも、最近のフェミニズム系の書物を読むと、「九〇年代からの一五年間は、日本においてジェンダー政策が主流化し、女性学が制度的な知の再生産のもとで若手の研究者を次々に送り出すなど、多様で多産な時期でした。その成果に脅威を感じるかのように、フェミニズムに対するバックラッシュすら登場しました」(岩波『新編日本のフェミニズム』)というように、日本のフェミニズムは「バックラッシュ」を受けるほど政策が主流化し成果を挙げたという評価になっているからだ。これは、山口智美さんもすでにご自身のサイトで考察しておられるので参照ください。

  このようにシカゴの学会では、男女共同参画政策が成功しているという一般的な見解は異なる現状の一端を示してきたのであった。

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コメント / トラックバック1件 to “アジア研究学会パネル発表の報告”

  1. アジア研究学会の「ジェンダーフリー」パネル報告#2 « グローカルフェミニズム研究会 Says:

    […] アジア研究学会の「ジェンダーフリー」パネル報告#2 カテゴリー: イベント・集会・研究会報告 — tomomi @ 10:39 シカゴで開催されたアジア研究学会(Association for Asian Studies)で行ったパネルについて、既に斉藤正美さんの報告が当ブログにあがっているが、ちょっとした追加報告をあげておきたい。 […]


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